フルアーマーとは何なのか


一度自分の中でしっかり定義を起こさないといけないなと思ったので、自分で掲げる「フルアーマー(ガンダム)」という概念を整理したい。

フルアーマーガンダムと呼ばれる重装甲型MSは今までいくつも生み出されている。FA-78-1から始まりヘビーガンダム、フルアーマー3号機、フルアーマーZZ、サンダーボルトでもフルアーマー出たし、アレックスのリアクティブアーマーモデルもユニコーンにもフルアーマーは出た。ある意味ではガンダム作品の定番でもある。

実際ガンプラやってると一度はフルアーマーと名付けた「俺ガンダム」を作りたくなる様で、ガンスタさんなんかでもフルアーマータグ内には色々なモデルがある。そこで作例を見てみると割と武装もりもりモデルが多い事に気付く。さて、「フルアーマー」とはなんぞや?

少し歴史を遡ってみよう。

既存の何かにオプション付けて強化という発想自体は結構古い。電人ザボーガーでも強化モデルでストロングザボーガーというのがあった。ある意味ではジェットスクランダーを装備したマジンガーZも強化装備モデルと言える。

1stガンダムでも些か趣は異なるが、Gアーマーによる高速輸送や飛行能力付加を行なってはいる。追加武装で機能付与というのは割とありふれた発想ではあるのだ。そして、1stガンダムでは未完成であるジオングがラスボスな訳だが、完成体のジオングとガンダムの戦いを板野一郎氏が落書きした際、ジオングか強化版(というか、本来予定された姿な訳だが)のパーフェクトジオングだったので、相方であるガンダムも強化パーツ付けてパーフェクトにしたのが「パーフェクトガンダム」というモデルである。

その後、パーフェクトガンダムは漫画 プラモ狂四郎において主人公の俺ガンダムとして活躍するのだが、機体重量が大きすぎるなどの問題から「装備を簡素化した」フルアーマーガンダムが登場し、パーフェクトガンダム2号機として漫画内で活躍して行く。

この様な経緯から、パーフェクトガンダムは1stガンダム後に発展したMSVのデザインラインから逸脱したというか、デザイン的には今でこそMSVに組み込まれてるジュアッグなどの「ジオン軍没メカ」連中に近いラインであり、ミリタリ臭をプンプンさせてるMSVラインとはデザインの点で相反する要素が多い。そこで(パーフェクトガンダムもMSVカテゴリなんだが!)よりMSVらしいデザインラインにリファインされたのが「フルアーマーガンダム」なのである。

なお、パーフェクトガンダムから伝統的に背部右側にキャノンが配置されているのはガンダムの企画初期に参考とされた「ぬえ版宇宙の戦士のパワードスーツ」への先祖返りであろう。(パワードスーツのデザインは明らかにガンキャノンにフィードバックされてる)

以上を踏まえ、フルアーマーガンダムと言うのは最大限装甲や武装を強化したものではなく(それはパーフェクトガンダムだ)、機動性を犠牲にしない程度の装甲と武装の強化モデルである事が分かると思う。フルアーマーガンダムの解説において「装甲強化されたが機動性は低下していない」という注釈が付くのはパーフェクトガンダムが機動性低下を招く程の重装であり、それの改善モデルがフルアーマーガンダムである歴史的経緯(?)を踏まえたものなのだ。

で、宇宙世紀をマジになって考察した場合。再三再四本ブログでは指摘しているが、配備数が少ないちゅーか、試作品ばかりで量産されてないガンダムを強化するのはナンセンスである。ガンダムが大好きで大好きで堪らないエンスーの鏡の様なマッドサイエンティストがガンダムを白い悪魔から白い魔神にしてどーのみたいな目玉グルグル案件であるのは相違ない。勿論軍の装備開発部からは「試作品強化プランに予算付くと思ってんのかマッド! 量産主力兵器(つまりジム)を強化するプラン出せ阿呆! この穀潰しが!」とけちょんけちょんに貶されたであろう事は想像に難くない。フルアーマー化で近代改修かけるなら普通はジムを強化しますわな、はっはっは。(なのでガンダム7号機とフルアーマー3号機プランがジムの方に転用されただなんだというのもむべなるかな)

で、フルアーマーガンダムはどー考えてもロマン溢れすぎで現実的には存在しようがなさげなのだが、今やハインツ熊とかフルアーマーガンダムが実戦配備されたのは確実っぽい。まぁ、ペイルライダーだのEXAMだのSガンダムだのフルバーニアンだの核バズーカだのがピョコピョコ出てくる世界なんで、その辺ほじるのはよそう。何で軍が総力挙げて開発したMSより秘密裏に隠れて生産したMSが高性能なんだかサッパリ分からないが、オーガスタ研とか光子力研究所や早乙女研究所、或いは三日月珊瑚礁の南部博士と交流があるのかも知らん。

で。

俺時空においてはフルアーマー3号機プランはジムコマンド系統の近代改修モデルとして採用され、2ロット24機が生産された話になっている。こちらは拠点攻撃時の砲戦から突入辺りまでの海兵隊的揚陸作戦展開用の部隊構成を想定しているが、大隊規模での戦闘自体が一年戦争後は余り起きそうにないのと、「軍内での内乱があった」という不祥事隠蔽、そして更に重要な点だが…「適切に構成された大隊規模のMS部隊は下手したらジャブローを陥落させ得る」という事実は大変に不味いのである。

また、後にZ時代でティターンズという少数精鋭部隊が台頭する下地として、大戦争の軍事費削減圧力やなんらかの「部隊縮小に向かう圧力」が必要になるのはおかしくない。

そこで先のフルアーマー3号機からのMS開発計画とは別に「限定戦争、或いは小規模な軍事衝突や紛争」に特化した「安価な軍隊」という方向性でアサノ大隊以降のジム物語を構想し、日本でいうSAT、アメリカならデルタやSWAT、イギリスのSASみたいな部隊が要求されるかなぁ…から始まったのが別ラインのフルアーマージム計画である。

当初の私の計画としては、モデルチェンジが激し過ぎる一年戦争後の20年を、余り予算取れない部隊がひーこら言いながら近代改修繰り返す…というラインを想定していたのだが、問題はユニコーンさんである。ていうかサイコフレームとかニュータイプ関連技術か。

地味にやりようがねぇんだよ(豪速球)

現用兵器のジミーで塩っぱい話をしたくとも、一年戦争後8年でカミーユはイタコ芸始めるし、その翌年にはZZがハイメガキャノン。

そんな中で十分な戦力を有する実働部隊が近代改修程度でやっていけるのかと。

そこで目をつけたのがSEシステムである。

0088年ぐらいからユニコーンの時代までとりあえず有効であり続ける技術体系はぶっちゃけこれぐらいしかない。(サイコフレーム実用化は0092〜0093年ぐらいか?)

ていうかサイコフレーム機はニュータイプ同様「定義されざる謎パワー」扱いで、福井理論だと地球人類作成のイデオナイトじゃないですかやだー。あんなのに対抗するにはガンバスターとかゼオライマー持って来いちゅー話ですわ。唯一の救いはSガンダムなんかもそうだが、MSは人間が搭乗する限り人間が死なない程度の機動しか出来ない点。そしてソード系システムの一番えげつないのは「慣性や重力制御が可能」という点である。ユニコーンの最大加速は20Gだそうだが、完熟訓練無しで20G掛けたら人間の意識など簡単に飛ぶである。

(F15パイロットは9Gに耐える訓練するらしいが、数秒しか持たないなんて言われてるらしい…宇宙世紀の謎システムがあっても20Gを1分掛けたら訓練積んだパイロットでも意識混濁を起こして墜落でしょうな)

いくら推力高くてスラスターあちこちに付けても、F15の時点で実際には人体の限界を超えてしまう。重力や慣性制御が可能にならない限り、人が乗り込む兵器の性能限界は人体そのものの構造的脆弱性に帰結してしまうですよ。逆に言えば真ユニコーン辺りの超常マシーンに勝利する道を探るなら、Gをキャンセルできる機械で「そうなる前に超絶機動で相手パイロットを潰す(物理)」ぐらいしか手段がない。

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