先に言っとくけど、与太です。
RX-178 Gundam Mk-IIは地球連邦軍の特殊部隊ティターンズが開発した制圧兵器であるが、この新型機(という事になっているが、世代的には1.5世代というのが正しい旧仕様を引きずった設計である)にはムーバブルフレームという構造が全面採用されていた。
1年戦争時代、モビルスーツはモノコックシャーシ構造であった。簡単に言えば機体の重量や衝撃を外部装甲で受け止める形式であり、昆虫に近い外骨格構造だったのである。ムーバブルフレーム構造は内骨格+筋肉に当たる基本フレームを組み、その上に装甲を装着する形式を取る。この形式を取る事で関節可動域を大幅に増大する事が出来、装甲の交換を迅速に行う事が出来るようになった。
RX-178のつま先の意匠を見れば明白な通り、RX-178の設計にはフルアーマーガンダムと呼ばれたRX-78の装甲強化プロジェクトが色濃く影を落としている。そもそもムーバブルフレームの構想自体がFSWS計画(Full armour System and Weapon System)から発想されたものなのだ
FSWS計画では基本構造にRX-78を据え、その上に増加装甲と武装を追加する計画であるが、この計画段階で「単純に装甲を追加する」 FA-78-1 フルアーマーガンダムと、「そもそもの装甲を増加する」FA-78-2 ヘビーガンダム計画が存在した事は良く知られている。この内フルアーマーガンダム計画にて肩部にミサイルランチャーを搭載する設計を起こす際、設計担当者が「そもそも装甲の上にミサイルランチャー乗せて、その上に装甲を乗せる意味が判らない」と呟いたのが始まりだと言われている。彼自身は単純に装甲と装甲の間のスペースにミサイルをねじ込む設計が困難を極めた為にミサイルの発射ベースをRX-78の装甲を削って付けてしまえばいいと考えただけであった様だが、そもそもFA-78の設計においてRX-78の装甲は「躯体部分を支える構造材/芯材」としての意味が強かった。
であれば、逆にRX-78の装甲を極限まで抑え、或いは身体を駆動させる機構部分のみを取り出して芯材を軽量化し、その上に乗せる装甲を重厚化させる方が設計としてはスマートである。
この段階で「ガンダムの軽装甲バージョンを作成し、その上に装甲を乗せる」という発想が出来上がった。この「ガンダムの軽装甲バージョン」こそが、ムーバブルフレームの祖と言うべきものである。
作ってる人の雑談風味
いやね。
そもそも装甲追加はMSVの世界では基本であり、なんでMSVでは装甲追加が基本であるかというと、戦車とかで増加装甲付けるって発想が結構一般的だったからなんですよ。MSVってガンダムをスケールモデル(戦車とかその辺のプラモデル)の視点で再定義したのが始まりなんで。
戦車のプラモデルの場合、WW2モデルではドイツ戦車のツィメリットコーティングなんかが有名であるし、ガンダムのMSV流行った頃には爆発反応装甲(リアクティブアーマー)なんかも実用化されていた筈。ガンダムを人型戦車と定義るのであれば、増加装甲を付けるのは基本的な発想なんです。実際に塗装関係の技術だけ取って見ても、チッピング等のハゲチョロ塗装やウェザリング系の部分で、航空機関係のモデルの塗装ではなく、AFV関係の塗装の傾向が見て取れます。ガンプラの特にMSVは戦車などのモデルの作成技術が結構取り入れられています。(でも航空機にありがちな迷彩塗装はそう多くも無い)
また、1年戦争初期は敵もビーム兵器持って無いもんでガンダムの自前の装甲だけでも結構防弾性能は高かった訳ですけども、戦争中期以降はバカでかい質量兵器(=ガンダムハンマー)を受け止めるゴッグとかも出て来ている訳で、RX-78の装甲優位性は薄れて来ています。また、ゲルググ等はビームライフル持ってますので、敵の武装も強化されてきている。
この手の戦争物でホコタテの話が出るのは必然ですね。
するとどうなるか・・・最初期は相当の装甲性能を持つモビルスーツも、戦争が長引くとフルアーマーパーツを乗せざるを得なくなる・・・・こういう流れになるんですよ。
デザイン作ってる連中が戦車とか参考にしている居ないは別にして。
デザイン面での共通項
Zガンダムは前作ガンダム(TVシリーズ)から5年後に作成された機動戦士ガンダムの続編である。
そらーもーZガンダムに対する期待は視聴者もガンダムマニアもだれもかれもが凄いものを持っており、模型情報(バンダイ発行の模型の情報誌、100円)や各種模型誌、アニメ誌で散々特集組まれたものである。
で、その物凄い期待の中デザインをする羽目になった永野護や大河原邦夫、藤田一己はたまったもんではないと(苦笑) 模型情報の別冊辺りでZのデザインラフを多数確認する事が出来たが、どれもこれも「今までにないガンダム!」って事で塗炭の苦しみを味わっているのが判る感じであった。
で、凄く斬新なガンダムを作ろうという話は余りにデザインがアレなので棚上げされ、従来のガンダムマニアがある程度納得するガンダムをMSV辺りのデザインライン上で設計しようって出来たのがRX-178 Gundam Mk-IIなのだ。
ぶっちゃけて言うと、ガンプラ人気→プラモ狂四朗→パーフェクトガンダムというオリジナルモデル→パーフェクトガンダムはどう見ても既存MSVのラインであるAFV風味で無いのでリファイン→フルアーマーガンダム
この流れから見て、FA-78-1が基本デザインとなってGundam Mk-IIがデザインされたのは必然なのである。深い緑で塗るとアレなので深い青になっただけの話でござる。
この辺の色々な経緯を加味してか、フルアーマーガンダムは実にこーガンダムMk-IIとデザインも後付け設定や出自もなんもかんもが親類の様に良く似ているのだ。RX-178でコアファイター無いのはヘビーガンダムの意匠受け継いでるんじゃ(笑)
おまけ
ガンダムが陸戦というか歩兵戦や戦車戦を意識しているのは、MSVだけではなく最初期設定からも明らかである。
ガンダム(白兵戦仕様)に対して中距離支援のガンキャノンとか、遠距離支援のガンタンクなんて、自走砲やMLRSでの制圧射撃と戦車の関係としか言いようがないじゃーん、みたいな。
これに対して「ガンダムが戦車なら俺は航空機だ!」って発想が超時空要塞マクロス。海軍? ブルーノアでもヤマトでも好きな方をどうぞ。
で、そのAFV趣味をガンダム以上にもっと強く押し出したのが「ボトムズ」で、だから故に必然的に1/35モデル(戦車プラモと同じスケール)が出ているという訳で。