バンダイのガンプラ政策を考える


メーカーさんの気持ちを考えてみようシリーズ。

さて、ガンプラブーム期から今のガンプラまで知る年代層である私の視点で「今、バンダイがガンプラをどんな風にして欲しがってるか」考えてみよう。

どんな製品でも製品の進化の方向性を見たらメーカーが何を志向しているかは大体読み取れる。ガンプラは1980年代にほんとアホほど売れたのだが、今はあの当時の様なガンプラ…接着剤必須、パテ必須、塗装大前提みたいなの…は売ってない。もしもあの大ブーム時代の環境が是認されてるなら今の様な色プラは生まれて居ないだろう。

今は接着剤不要、多色成形が進み「接着剤も塗料も不要で、シール貼ればそこそこ鑑賞に耐えるガンプラが完成する」様になっている。ここから見るに、ガンプラブーム後の停滞期を経験したバンダイは「手軽に見栄えのするキットを生産し、誰にでもカッコいいガンプラを手にして欲しい」と願っていることが推察される。つまりガンプラ小僧が高年齢化した結果として停滞した?状況に対し、若年層開拓や高齢化したおっさん呼び戻しの為に手軽さが重要であると。

特にプラモ関係では欠かせない「シンナー臭」はガンプラに限らず大問題だった。おじさんらの時代ではシンナーちゅーのは「不良が校舎裏で吸引してラリパッパする」のと密接に繋がったアイテムであり、プラモ作成がきっかけで不良化するとか大真面目に語られてたり、脳が萎縮するだのアホになるだの散々だったのである。一番ガンプラとかでシンナー(結果的に)吸ってた中学時代、私偏差値で70超えだったんですが…(換気してやる分にはそんな深刻な影響無いべな…w)

塗料と接着剤の根絶。或いは可能な限りの排除。

現状タバコなどに対する社会の規制を見ていると、悪臭であり健康に被害を与えるシンナーは、野放しにしておくと社会から規制される可能性が極めて高い。ガンダムマーカーなどどーしてもやらねばならない細部塗装に非シンナー系溶剤(アルコール系)が用いられているのもこの辺だろう。彼らは基本、シンナーを使って欲しくないのである。

更に最近、ガンプラビルダーズだっけ?からビルドファイターズシリーズ、そしてトライ経由でダイバーズとガンプラ販促アニメにおいて、改造というヤツが主題に取り上げられている訳だが、注目して欲しい所がある。本項投稿直前に放映されたビルドダイバーズでは折れた関節部の修理に「軸に穴開けて真鍮線を通して瞬間接着剤で接着」しているのだ。シンナー系接着剤使って無いのね。

思えばビルドファイターズでセイ君が接着剤塗ってるの見たことないよーな。また、彼がエアブラシで塗装しているシーンも見かけない。つうかシンナーの匂いがしそうなシーンが無くないか?

これは当然の話で、ガンプラが今必死にシンナー遠去けてるのに、改造や仕上げでシンナーを使う様ではバンダイの目指す方向性に反してしまうのだ。セイ君はプラ板の積層加工してるから溶剤系接着剤を使っていると考えるのは自然であるが、この事実は巧妙に外されている。ていうか、サフ吹いてキズチェックとか、吹いたの組み立ててニヤニヤしたりサフ萌えーとか言ったりしないのだ。

最近バンダイが入れ込んでるフミナ先輩にしてもですね、モデラーなら爪先にサフの灰色だの爪のキワに塗料が付着しているだの、服や髪にプラの削りカスが付いているのがリアルというものであろう。

しかしそんなん見たことないわw

現状において、以上のポイントから「ガンプラからシンナーを遠ざける」というのは大変重視されており、ぱち組、無塗装。改造するにしても切削かパーツ単位の組み替えか、デコパーツを瞬着辺りで接着程度、塗装なんてとんでもなく、可能ならトップコートも吹かせたくない…というのがバンダイの本音ではなかろうか。ガンダムマーカーをエアブラシにするシステムの販売もあった訳だし、次にはガンダムマーカーのつや消しとか出してくるかもしらん。(今唯一シンナーから離れられない部分だし)

この辺から考えると、ゲート処理は確かにガンプラ説明書に「二度切りしましょう」と書いてあるからバンダイ側も推奨というか、綺麗な仕上がりや組み立ての関係上干渉を防ぐ意味で推奨してるかもしれないが、全面塗装は余り推奨されておらず、マーカーによる部分塗装や墨入れ程度が想定で、改造はパーツ単位での入れ替え推奨なのではないかと推察される。

勿論、どの分野でもトップ層は変態加工するのが常であるから除外するにしても、ウチで言うならこの辺がバンダイの想定する「普通のガンプラ〜一般層が手を入れたガンプラ」なのではないか。

接着ほどんどなし。部分塗装と墨入れ、合わせ目はデザインナイフとヤスリで処理。

接着と腰部延長したが基本素組、全体的に磨いてシャープ化。部分塗装。何もトップコートなし。

この程度で満足し、月に2〜3個作るぐらいがバンダイの考える「普通〜少しこだわりのあるガンプラ好きの作品」なんじゃないかなと。

また、逆に「普通のガンプラ好き」に対してゲート処理以上の「工作を要求」するのは、「バンダイの推進している普及政策」には反しているかもしれない。超絶技巧取得や世界選手権に出たいと考えている前提なら話は別だが、少なくとも手間かけて製作頻度が下がるなら、確実に売上阻害要素になってしまうし。

勿論バンダイの施策に寄り添う必要は全く無いが、このバンダイ擁護発言が多い私でさえ「配慮は多少するものの」、ココは良くねぇだ(出来が気に食わないから)改造するとか書くわけだ。彼らの意図を理解しようとする事とガンプラ作成で彼らの意図から離れて好き勝手するのは両立し得る。そしてその両方がバランスよく発達した時に生産的な批評や新しい視点が生まれるのだと愚考する次第である。

プレバンが生まれたわけ


ツイッタランドでバンダイに届かなくていいから聞いて欲しいつータグが地獄の様相を見せている。

そも、なんでプレバンが生まれたのであろうか。

発注受付パターン見ると、かなり先に生産/販売を行う受注生産のようである。例えばバンダイ静岡工場に幾つかの生産ラインがあり、その内一つか二つの生産ラインの稼働率が3ヶ月先に少し空きが出るとしよう。2日/ライン空くとしようか。するとこのラインで働くおじちゃんおばちゃんは暇になり、休みを与えられるか工場の掃除でもするしかなくなる。バンダイ的には生産ラインを動かさないことは損失であり、稼働率はできるだけ上げたい。そんな時は在庫の減ってるジムコマとか作ってくれれば良いのだが、在庫増やして売れ行き悪ければ在庫管理の工数が増えて財政的によろしく無い(滞留在庫という奴で、倉庫の人はブーブー言うし、営業にはどっかにねじ込んでこいとの圧力がかかる。キャッシュフローにも良くなく、酷いと上層部から文句では済まない恐ろしいものが来る)

恐らくは、この様な工場側操業の問題点と顧客である我々ガンプラ紳士とかの要望のすり合わせでプレバンは生まれている。

私の予測では、ガンプラとかだとワンロット2〜3万クラスが一般販売に回る最低数量であると思う。これに満たない販売予測しか立たないモデルは従来生産計画も立たない筈だ。

しかし、金型の生産コストは兎も角、金型の設計コストは今劇的に下がった。3D CADと3Dプリンターにより試作は簡単にできるし、ランナー配置なんかも楽にできる。(ちょっと最近配置が雑だがな! ニッパー入れにくいのあるぞ!)

この金型コスト減と工場の都合、また、工場の労働力管理の厳密化で、従来は1週間とかの単位でラインをあるモデルに割り当ててたのを1日で組み換え可能にし、最低生産個数を極限まで下げたのがプレバンのガンプラではないか。

仮に1週間5日、フルに生産すると3万個のガンプラ作れるラインがあったとして、単純に1/5すると1日6000個。金型入れ替えなどを考えると若干生産数目減りするだろうから5000個ぐらいか?

プレバンで受注する場合は最大発注数として5000個売り切りとする。沢山注文来たら沢山作ればいいじゃないか!と思う人もいるかもしれないが、工場のラインはそんなに空いてないし、残業したら残業代払わないといけない。一般販売しろ!という話もあるが、3万個作って2万個しか売れなかったら1万個も倉庫に移動させないといけない。一万個のガンプラとかどれだけスペース取るだろうか!

(売価2000円、卸値1000円としても1万あれば1000万。1000万の資金/売掛け金回収が遅延するとか大問題ではあるまいか)

なんと言ってもバンダイは40年近くガンプラ売っており、ガンプラの販売予測については世界で一番詳しいはずである。また、40年やってると言うことは会社経営陣を始めとする管理部門もガンプラが売れた時代や不信の時代も知っているという事だ。経営陣がガンプラ知らなきゃ口三味線や騙しで1発かまして作らせてしまう方法もあるが(失敗ると左遷や降格、クビを含めた制裁が待ち構えている…)、ガンプラの部門管理してる人間はそこまで甘くない公算が極めて高い。

プレバンを辞めろという事は、バンダイに在庫リスクを強制したり、工場に大残業やサービス残業強いたり工場操業率低下させて彼らのサラリーを危険に晒し、倉庫のおじちゃん悩ませたり、ガンプラの営業さんがストレスでハゲ散らかしたり株主総会で経営陣が頭下げる羽目になったりと、ロクでもないことが山積する大問題なのである。

もしそれでもなんとかしたいなら、ガンプラではなくバンダイの株式をガンプラマニアで5割近く取得して、「損益は構わんからxxを一般販売せよ!」と主張するしかない。それ続けると株価低下して自分の資産がガンガン目減りし、経営的なリスクを取るとバンダイの企業価値が低下すると言う厳然たる事実を体感することになるかもしれんが。

プレバン脱出の方法はあるのか?


無いこたー無いと思うんですよ?

まず、金型があるというのは、でかい。あれ作るの金掛かるから。一回金型を起こしたという事は、それがどんなものであれ「出来るだけ金型を使ってイニシャルコストを回収したい、あわよくば回収完了した金型を使いまくって濡れ手に粟でウッハウッハしたい」と考えるのは自然である。

問題は、一般流通の経路を考えれば分かる。問屋と販売店、大規模チェーンなら購買部だ。この人らは数売ってなんぼなんで、毎日毎日POSデータやら各種の反応を見て状況判断する。そして恐らく彼らは物流やマーケティングのプロではあるが、ガンダムという物語の方にはあまり詳しく無かろう。おもちゃやホビー全般が担当だろうし、私だったら趣味に走るガンダム好きをガンプラの仕入れポジには絶対置かないw

実際今私がやってる事ではあるが、一人二人そのキット10個とか買うマニアを作るより、コンスタントに書い続ける人を1000人でも2000人でも作っていく事、そしてそんな賛同者を増やす事ができるインフルエンサーだのグルだのエバンジェリストだのを生み出していく事だと思う。

まず、一個買ってくれることを喜び、彼の慧眼を褒め、同好の士を暖かく迎え入れて「二個目、三個目を書いたくなるように仕向けるである」プレバン商品だけだと難しいから、例えばリゲルグを一般販売まで引き摺り下ろしたいならリゲルグをプレバンで買うだけではなく、ゲルググやシャアゲル、ゲルググキャノン、マリーネだの「リゲルグ売れるかも?」と購買担当騙せるぐらいのPOSデータを提示するである。アクシズ縛りとかそういうのでもいいし、ゲルググ多々買いさせる為にゲルググ渡されたジオンの学徒兵(当然同じクラスの奴で小隊どころか中隊ぐらい組めるぐらい動員されているであろう!)の物語を作りながらひたすらゲルググ作ってもいい。

私がガンスタさんに登録して一年ぐらい経過しているが、投稿作品30ある中で実に22の作品がアサノ大隊及びその関係の作品であり、そも最初期は中隊ぐらいの部隊規模を考えてたのに今では連隊規模までスケールが広がったのは、途中から割とマジでジムを流行らせリバイブジムまで漕ぎつけようかと画策し始めたからである。やられキャラだってんで割とフリーダムかつなーんも考えてなさそうな公式設定をむりくり繋げていくように設定補完を考え、一貫したジムの開発史を模索し、ジムの魅力を掘り起こしながらジム好きを増やし、皆にジムを買わせ、実際ジムは売れるのだというデータ作りに利用させて頂いている。50でも100でも作るし、それぞれそれなりに見栄えするように作りつつ、フォロワーが真似したくなる「手軽な改造」を推し進めて行く所存である。(ジムカスでやって見せたようにある程度大掛かりな改造もできなくは無いが、かったるいし時間かかるし真似する気起きないだろアレ…プラ板使った腹の延長とかもその内記事書くわ…)

道が無いと嘆いてる暇はない。道が無いのは当たり前、今自分が道を作ってる最中なんだから。それを多くの人が踏み固めて始めて道になるのだ。プレバンから一般販売への道も今は見えないかもしれないが、道なんてもんはそっちに向かう人の流れが出来たら自然と形成されるもの。皆で歩き続ければいつの日か必ず道はできる。

なお、私は約一年でジムコマ宇宙型を5〜6個、ジムコマコロニー戦を1つ、ジム寒冷地型3つ、ジム4つ、ジムスナ2を3箱…とあの辺のガンプラ月一以上のペースで書い続けている。ミキシングしたりするからフルアーマー3号機とかフォーエバーガンダムなんかも買いあさっているけどな!

なんでプレバンなんだぁーの巻


わしプレバンから買わんからどーでもいいのだが。

色々魅力的な新モデルが出ているようで何より。実際新商品出ないと停滞感とか出るし、出し続けないといけないがさして売れないもの生産して倉庫の滞留在庫にするわけにもいかんからな。プレバン作戦はそういう側面もあるのだろう。

さて、事の根幹は簡単だ。なんでプレバン限定品ばかりなのか。

売れないからだよ(豪速球)

いやそんなことはない、ツイッターでAさんは3つ買ったし僕も買った、酷い人になるとダースで買ってるし、プレバンですぐ売り切れたもん!

…なんちゅーかだな、千個二千個の話ではないんだな。プラモ作るとなればまず原型作るかCADで設計図引いて試作して組み立て説明書こさえてパッケージ作って…バンダイの企画室レベルでも片手で足りない人間が動く。工場で働くおっちゃんおばちゃんの給与もあるし、工場の操業止めるわけにもいかん。広報だって仕事するし、ワンモデル作るだけでもめっちゃ人動くし、彼らだって飯を食う。金払わないかんのだ。仮に一人月給30万だとして20人が7日働いたらざっと150万円。会社だからこれに更なる儲けを載せないといけない。仮にこの辺含めて一つのプラモ作るのに人件費近辺で200万円。一個2000円で1000個売ってもこの金額しか賄えない。プラモ作るには金型が必要だが、完全新規となればそれなりに金掛かる。むかぁし聞いた話では500万とかだったか。今はスライド金型とか使うからもうちょい高いかもな。パッケージやマニュルだって印刷に金掛かる(まぁ、バンダイなら自社でやってそうだが)すごうく安く見積もって800万ぐらいが初期費用としようか。2000円でキット売って800万のイニシャル回収するまで4000個。

4000個売れてトントンの世界だ。一人3個平均で買って1300人ぐらい?

さて、インレだかTR6買うとか言ってた人どんぐらい居たかね?

仮に上記の計算で倍の8000個売れても800万しか儲からんのだ。一応バンダイは超デカイ企業であり、その売り上げ規模からしたら800万の利益はメタクソ小さい。Wikipedia見たら2017年3月期で純利益74億7000万円。上記の計算で12000個売れたら利益1600万円だが、そーすっと一人3個買うマニアが4000人居ないといかん。そんなにいるのか? プレバンで限定モデル買うやつ。

これに対して一般販売。全国にプラモ売ってる店舗がどんだけあるかは知らないが、近似値としてヤマダ電機の店舗数見てみると、大体940ぐらいある。この全店がガンプラ扱ってるとは限らんが、試しに日本全国で新商品一定個数で買う店舗が合計1000店あると仮定しよう。この全ての店舗が10個ずつ…まぁ、中にはアキヨドみたいなバケモンが5倍買うかもしらんが平均で10個(段ボール箱一つ)仕入れるとすると、初動で1万個売れるのね。もちろん何もせんと1万個買ってくれるわけではなく、アニメ作るだの何だのしなきゃいけないが、初動で1万個だ。一回再発注入れば2万個。すぽーんと売れる。しかも平均3個買ってくれるプレバンだと3個づつ佐川やヤマトに渡さないかんが、ヤマダやヨドなら物流にすぽーんだったり、仲卸にトラック横付けでドーンと納品。(まぁ、その分割引販売してバンダイ売価半額ぐらいになるんだろうが、1店舗平均30個とか買ってくれるなら御の字だ)

正直、単価が安いガンプラとかだと一般販売可能個数は年間2〜3万ぐらいではないかと予想している。年間1万ぐらいしか売れる見込みが無ければマッハでプレバンだろう。よく売れたと言われるレベルで年間5万とか。リバガンとかアニメもこさえず相当売る気あったんだな…完全新規で1200円ぐらいの定価だっけ? 多分アホほど売れてるぜ。だからあんな価格設定できるんじゃ。

おじさんは一般販売でジムシリーズのリバイブを願っていたりするが、その場合は可能な限り金型を共通化し、メチャメチャ少ないコストで素ジム、Cジム(ジム改)、Dジム(寒冷地)、Gジム(ジムコマコロニー戦)、GSジム(ジムコマ宇宙戦)の5種類、合計7〜8万個/年ぐらいを目標にしないといかんだろーなーとか考えてる。そらもうあーた、ツイッタランド辺りでは毎日10も20も完成報告が飛び交い、ガンスタさんの投稿のうち3割がジムとかいう異常事態が3ヶ月ぐらい続く世界を目指さないと「リバイブジムも、それの一般販売も無理」ってもんですわ。

誰かジム大活躍の漫画描けよ(他人任せモード)

プレバンでは買わないマン


私、とある事情からプレバンを利用していないのである。通販も利用してない。

私の住まいのある川口市東部(草加市や足立区との境辺り)でガンプラ取り扱いしてるのは、松原団地近くのJoshin、4号沿いのヤマダ電気、中古になるがエンターキング、鳩ヶ谷駅近くのコジマ…ぐらいである。土地勘があると分かるがちょっとチャリンコで小・中学生が気軽に買いに行ける感じではない。

昔は…私は高校まで川口市中青木辺りに住んでたので、西川口にイエサブ、少し遠いが蕨にだるまや模型店、住んでたマンション至近にスズキ模型店…と、あちこちにプラモ屋があった。大体各小学校の学区に一つぐらいはプラモ屋があったのではなかろうか。

20数年、いや30年ぐらいか。この間にプラモ取り扱う店は激減した。店主の高齢化とか色々理由はあるだろうが、1番の理由は「売れ行き悪くて飯食って行けなくなった」辺りではないか。この「店激減」を知った辺りで私は大変ショックを受け、出来る限り店頭で、可能な限り個人店で、財布に余裕がある限り定価で買うように心掛けている。アキヨドでも買える物でも出来たら上野ヤマシロヤに行くのは「街のプラモ屋さん」に頑張って欲しいからである。

私が中高生の頃から(まだ美風は継承されてるらしい!)プラモ屋さん行ったら木戸銭がわりに必ず何か買って行くという掟が埼玉南部にある。万引きなんてもっての他! 我々埼玉南部の模型少年は店を支え続けないとプラモ屋なんか吹けば飛ぶ事を何故か知っており、地域のプラモ屋さん潰れるとえらい遠くまで遠征しなければならないことを知っていた。オラが学区のプラモ屋は学区の連中で守るべき対象だった。しかし世の流れは無情であり、店は次々に潰れた。なんと今、川口駅周辺ではプラモを取り扱ってる店が無い!

私ら大人はいい。街中や都会に出掛けるなり通販使うなり如何様にもなる。だが、小・中学生はどうだろう? 最近近所の小学生がガンプラ作らないという事を知り地味にショック受けてたんだが、そも近所でプラモ売ってねーもん。売ってねーもんどーしよーもねーわ。

下手したら今以上にプラモを扱う店が減るかもしれない。それを避けるには出来るだけ地元で、個人店で、定価で、或いはプレミア価格でプラモを買い、金を落とす必要がある。金を可能な限り業界に広く撒いて「みんなで」楽しく暮らせるようにしないと扱い店ガンガン減るわ。つうか減少傾向は今も継続中だろう。

故に、メーカー直売で取次にも問屋にも販売店にも金が落ちない「プレミアムバンダイ」はそこでしか買えないアイテム扱ってても利用しないのだ。これ以上店減ると店頭でニヤニヤしてプラモ選ぶ楽しみや、塗料足りないからちょっと買いに行くとかできなくなってしまう。実際スプレー缶とかは地元で扱い余りなくてアキヨド行かざる得ないとか地味に不便な状況は今も発生している。

この状態が常態化した今しか知らない若い子は知らんだろうが、昔はもっと気軽に小・中学生がプラモ作ってベタベタ色塗ってブンドドしてたんやで…

あの風景は、遠い昭和の日の幻燈になってしまった。

とか買いておいてナンですが!

池袋ブランイヴウ最近通ってたんだが、昨日ペイルライダー陸戦型(プレバン限定)を見つけてしまいましてな! 店頭買いなら許される理論で買ってしまいましたわ!(誰かの積みプラなんだが、店にもレンタルボックス代入ってるからセーフw) いやー出来いいなこれ。ミッシングリンク好きだし大興奮ですわ! 速攻でぱち組してニヤニヤしてた。(難点は足首関節可動を二重化してしまった為に、限界まで足首曲げると複雑骨折してるように見えるトコ)

これ、店売り出来ねぇのかなぁ。良い出来なのに広くモデラーの目に触れないのは残念ですわ。

ガンプラの進化を知る


今回数十年ぶりにガンプラに手を出した訳だけど、私がまだプラモ作ってた頃(20代前半)からは長足の進化を遂げているという話自体は聞いていた。

曰く・・・・

接着剤不要、色塗りしないでも見栄えのするモデル。
関節などの構成が見直され、非常に可動域が広い。
色プラでの多色成形技術が進化している

昨夜2時間程度で素組をしたのだが、確かにこりゃすごい。
凄いが・・・・驚かされたのはそれだけでは無かった。

ガンダムの顔

上図はどっかから引っ張ってきた最近のガンダムの顔の部分なのだが、昔は首は左右へのパンだけの可動軸で、首と顔は一体になっていた。角以外のパーツは前後で2分割されており、その分割形式により設定画とは異なる横顔になっていたのだ。

「少なくとも昔は」、ガンプラのパーツって上下二分割された金型の間に溶けたプラを流し込んで作る「射出成型」と呼ばれる方式で作られていた。この際、型を後から剥がさなければいけない関係上、成形するモデルには逆テーパーが存在できなかったのである。
この為、ランナーの作り出す「平面」に対し、垂直方向の面に対しては精細な彫刻が出来るが、側面部分の彫刻は「逆テーパーにならない様に」施さざるを得ず、結果的にヌルい筋彫りや浅い筋彫りが刻まれる事になっていたのである。

そんな訳で、昔の1/144ガンダムの顔ってこんな感じだった。
ガンダムの顔_昔あごの部分から見て行こう。顎は一体成型だったので今のモデルの様に裏側を斜めにする事が出来ず、青い部分が喉の部分に直結していた。もしも今のモデルと同じ様に顎を成形すると、キットが型から外れなくなってしまうのだ。また、ヘルメット部分の下端も今の様に山形にはなっておらず、頬の部分で垂直に下りて来て、右斜め下のラインを作ったらそのまま(ほぼ)水平方向にすーっとラインが引かれ、メットの後ろの部分で耳(?)部分の出っ張りに統合される様な、そんな造型だったのだ。だからマニアは青い部分を削り取り、赤い部分を削って滑らかなラインにする事から始めたのであった。無論首は別パーツとして作り直しで、更に可動軸を仕込んで上向いたりした向いたりできるようにするのが嗜みである。(嘘だと思ったらMSVのFA-78買ってみれ。プロトタイプガンダムとかでも良いぞ。今ならラーメン一杯食う値段でお釣り来るくらい安くなってる)

昔のモデルはこんな感じで「型で抜く以上、仕方のないデザインの変更」があちこちにあった。ガンダムの襟の部分、黄色のパーツのフチも本来の設定画では前の方までフチが付いているのだけど、1/144ガンダムMk-II辺りまでは確実に最上部の部分にしか襟は立っていなかった。

その他、設定画通りに関節作ると事が出来ずガンダムMk-IIのくるぶしの関節位置は設定と異なる位置に設けられていた(本来内部フレームと解釈されるべきパーツが脛の装甲板の一部と解釈されて、そこから関節の軸が伸びていた *1)

これは生産上仕方のない事という訳で、その辺の「立体化の際に省略/解釈の変更をされた部分」を如何に設定画に忠実に作り直すかというのが、ガンプラ少年が改造に乗り出す第一歩だった訳だ。他人の作品を見てラインの取り方を学んだり、設定画とにらめっこして「設定に合致する方向で」細部を作りなおしたり、或いは面の解釈の違いを「自分の望む方向に」戻す為に面の出し方、角度、ボリュームを変更したりすると。格好良いポーズを取らせる為に関節の改造や可動軸の追加なんかもやった気がする。

昨今のモデルを見た感じだと・・・・この立体化する際の技術的問題で解釈を変えた部分が驚くほど少なくなっている。ガンダムの足首から脛にかけての構造も、昔のMk-IIで顕在化していた問題(足首側に油圧パイプの様な物を付けてしまった結果、本来脛の方向と同じ向きに伸びるべきパイプが脛の向きと関係無い方向に向いてしまっている/足首の出す水平面に対して一定の角度を出す形になってしまっている)が改善されている。

ああ、なんか凄い。
設定画にある程度忠実なガンダムがそこにある。
これだったら以前は最初に行っていた「設定画との齟齬を潰す」作業そのものが要らなくなる。

その設定画に極めて近い成形をしている秘密はどのへんかを考えると、その答えは恐らく今回のHGガンダムの肩部装甲パーツにあると思う。
これ、何の気なしに一パーツで成形されているのだけど、上下二分割の型じゃこの部品一発成型できないのよ。

じっとランナーを見る・・・・
ガンダムの肩_ランナー肩のパーツの付いている所を良く見ると、外周部に当たるランナーが無いのである。これは何を意味するかというと、上下二分割の型で挟むだけではなく、横からぴったりと肩の内側を成形する型を挟み込んでいる・・・・つまり型が上下二分割ではなくもっと複雑に分割されているという事だ! 恐らくはビームサーベルのビーム出す部分も何かの彫刻が施されているのではあるまいか?

プラ部品のインジェクション(射出成型)では、高圧で溶けたプラを流し込む関係上、凄い力で型を押し固めるという。上下二分割にするのは上からぎゅーーーーっと押して型を押さえる為の方策である筈なのだが、複数の型に分割した場合は上下左右から型をしっかり抑え込む事が必要になるので、成形コストがかさむ事になる筈なのだが・・・・

こんな風に考えてキットを見た場合、型からの作成でどんな部分が問題点で、どの様にすれば解消できて、どんな風にパーツ分割したら綺麗にモールドを出せるかという部分をなんかもー熟考しまくってキット作ってる様が瞼の裏に浮かんでくるようである。

*1 1/144のガンダムマーク2 旧キットの側面図を見てみよう
RX-178-003足首関節の軸がこんな高い所にあるというのがそもそもの問題としてアレなのだが、脛の装甲板と一体になったこの軸の付いているパーツ、本来は脚部内部構造の装甲板なのよ!
RX-178-004近年のMk-IIだとちゃんと解釈されているが、Mk-IIはフレームに装甲を付けているという設定であり、内部フレームの足首関節を可動/保持する為のピストンというか油圧シリンダーが仕込まれている訳だ。油圧シリンダーの可動部は足首側になる筈で、脛アーマーの縦軸方向とシリンダーは正面から見て垂直に伸びる筈なんです。
所が旧キットではシリンダーを足首側のモールドにしてしまった為にフレーム構造はどーなった? って突っ込み以前にシリンダーがどこにくっついてどう動いてるのかが皆目見当のつかない構成になってしまっていると。

この方もやっておられるが、足首~スネの構造変更は旧キット最大の難所であった。そもそも立体解釈が設定画とまるで違うんだもん(涙) 私も同じように各部バラして伸ばして縮めて作り直しての大運動会をする羽目になった物である。