今回発売されたガーカスさんを初めとするジム・(任意)カスタム系モデルは、ジムの一般配備後に高機能機としてカスタマイズを前提として運用された機体群である。
元々はMSV時代に「フルアーマーガンダムと並べて違和感の無いジムを出そう」というコンセプトから始まっており、それ故最初機の名称はジム重装型スナイパーカスタムとなっている。なんや分かりにくいがジムをベースにジムの重装型が生まれ、それを戦術ベースで機能特化させて行ったのがこのシリーズであると見なすべきか。
ややふんわり気味にこのシリーズは総数50数機作成され、半数が長距離攻撃を可能とした「スナイパーカスタム」(狙撃専用ではなく、狙撃能力を付与したジム重装型)、艦隊護衛特化の内邀撃を主任務として機動性と攻撃力を強化した「インターセプトカスタム」(10数機作られたらしい)、そして防御特化型のガードカスタムだ。
それぞれの特性を考えると、2個中隊分24機ぐらいがスナカスとして拠点攻略目的で運用(小田プランではフルアーマーガンダム随伴機として期待されてたわけで。FAが対艦攻撃とかに向く構成だから、スナカスは敵側インターセプターを排除して爆撃機の如きフルアーマーを突っ込ませる様な運用だったのではないか? まぁ、フルアーマーは数が存在しないのでジム&ボールの切り込み部隊の突入サポートさせられてそうだが)
前線少し後ろに展開するスナカスに対し、艦隊前面に展開したのがインターセプトカスタム。機動力を活かして前線突破して連邦艦隊に向かって来る奴(縦深侵攻能力の高いMAとかだろか?)の排除が任務で増強中隊(5個小隊)15機か、中隊(4個小隊12機)での運用だろうか。
で、艦隊にほぼ張り付きで護衛を務めるのがガードカスタム。まぁ中隊規模12機ぐらいがこれだろうか。
チェンバロ作戦や星1号作戦発動前の段階で、地球連邦軍は艦隊攻撃能力高めでMSが割とその…ジムはザクより強いがリックドム相手には微妙、ゲルググには少し劣るレベル。この状況下で作戦立案すると艦隊攻撃主軸でMSは艦隊護衛任務に振り向けるしかない。しかしジオンは(なんでか)ドロスみたいな巨大空母で連邦艦隊をアウトレンジからぶっ潰すという戦略を用いており、艦隊決戦を試行しようにもドロスみたいなバケモノを潰してからでないと…というジレンマが発生している。
この為、ビーム撹乱幕でドロスや拠点側ビーム砲撃を無効化/弱体化させ、先ずはMSで敵側砲撃能力を奪うという形に落ち着いたのであろう。この辺からカスタムシリーズの着想が生まれているのではあるまいか。
フルアーマーガンダムを勘定に入れず当時の連邦軍手駒で考えるなら…高機動爆装機(砲撃能力を奪取用)、制宙任務機、艦隊護衛機の三種類が必要になるが、時間も無いしとりあえずベース機一種類作って「必要に応じて任務に必要な艤装を付けるようにしよう」となったのではあるまいか。
当初コンセプトとしては、素ジムとボールを展開してスナカスで支援、これで制宙権奪取してインターセプトカスタムで爆撃、ジムで制圧という流れか、爆撃で長距離攻撃能力奪ってから艦隊で硫黄島の如く地形変わるまで砲撃加える予定だったのかもしれない。艦隊防衛MS作ったというのも、元は最終的に艦隊で潰しにかかるという計画故かもしれない。
ところが戦場は思うように動いてはくれない。
インターセプトカスタムは当初目論見としては対艦、対拠点攻撃機として期待されたが、意外とビグロとかに前線突破されてまった(あるいはソロモンの亡霊の様に、なんか知らない内に戦艦が沈むというオカルト現象により)などの要因により邀撃を主任務に転換されたのではないか。
この様な当初コンセプトからの逸脱をも予見してカスタムシリーズは構築されている可能性がある。戦術に柔軟性を与える為にカスタム可能にした、と。
実際にガーカスは初期状態では共用部品多目(というか、恐らくはカスタムシリーズの素に一番近い型であり、ガーディアンシールド持たせただけの「ジム重装型」なのでは…)であるが、後に機動性を高めて肩バルカンだか付けたモデルが出た…という事になっている。説明自体はガーカスを戦場の絆バージョンにせんですまんな…の言い訳なんだろうが(苦笑)、好意的に考えればやはりインターセプトカスタム辺りを邀撃にしているだけでは勿体無いので、邀撃(インターセプト)を主軸にしつつも、どっかのタイミングで制宙権取れたら爆撃で砲撃能力を潰して、邀撃含む艦隊防御をガーカスに一任するという作戦プランがあったのかもしれない。(その為に改装された、とか)
実際には中々制宙権が取れずにギレンに「圧倒的ではないか…」と嘯かれてしまった訳だが、なんとか前線維持してたらジオン側がオウンゴール(キシリアによるギレン暗殺)決めて、それで動揺した隙にドロスに対する猛攻からの逆転劇が始まったと。このタイミングでインターセプトカスタムがリベロ位置からカウンター決めたりしたのではなかろうか。