今回、滅多に作らない「開いた手」を作ったんだけど、その作り方みたいなのを。
意外と手を作るのは難しい。なんで難しいかというと、手の構造がイマイチ判り難いってのが根底にあると思うのね。手の関節がどこにあって、どう動くか、どこの自由度が大きくてどこが動きにくいのか、関節が動いた時にどう肉が動くのか・・・・
逆に言えば、その構造を把握するとどんなになるかというのは考えやすい。
ここを見てみよう。
岩国の病院のホームページだけど、最後にいい写真がある。これを参考にしてみよう。
我々が手のひらだと思っている所には、指の骨の延長が入っている訳だ。逆に言うと指というのは手首から生えていると言っても過言ではない。
極端な話をすると、親指の付け根と親指除けば、手の形って大まかに言うと手首から扇状に伸びた平たい板みたいなもんなんだよね。指の股や指の付き方を考える時にこの骨の構造は凄く役に立つ。中に骨が入っていると想定するとそれっぽく出来る。握り手の場合もこの基本構造を把握した上で作るとそれっぽい。
また、指の付け根の関節は意外と手のひら側の奥に付いている事も判る。
実際に指を真っ直ぐ伸ばし、手のひらを横から眺めてみよう。
ここで人差し指をゆっくり曲げてみる・・・・人差し指の骨を意識してどこからどこまでが指なのか考えつつ見て行くと・・・・分離していないだけで、実は手のひらの先の方、指の付け根あたりは指の骨の影響下にある事が判る。指は指として独立している部分だけではなく、その基部含めて指なのだと。
まぁ、硬いのはこの辺にして、とりあえず平手を作るでござる。
![手のもと](https://wildcatfactory.wordpress.com/wp-content/uploads/2013/10/te00.jpg?w=652)
まず適量のパテを取る。適量だと思ってても実は多かったってのが多いから、まーそのーてきとーで。手元に参考になるサイズの人形あったら、それと見比べててきとーに。
親指除いた部分の大体の形(板状の扇形?)を作り、切れ目入れて指の原型を作る。
指を開く。指分ける時には真ん中2本の細さだけ気にする事。端の方は硬化後に削ればいいのだから気にしない。
指を細くしたり表情付けるのは硬化後に行うので、この時点ではクリームパンとかグローブに見えても気にしない。この時点で気にするのは、この形の中に自分の欲しい手の形が隠れているかどうかだけ。
極端な話、削る行為を厭わないならプラ板の積層からでもパテの塊からでも手は作れる。作れるけどめんどくさかったり、作れるかどうか判らないから「まず、完成形の手がイメージできる状態まで持ち込む」までが第一段階。開手の場合はこんなんだけど、何かを握ってる時は扇状のパーツの段階で握りこむものの取っ手の部分に巻きつけて、そこから外形を整えて指を分割してます。
![IMG_1645[1]](https://wildcatfactory.wordpress.com/wp-content/uploads/2013/10/img_16451.jpg?w=652&h=652)
小指とか長いんで、少し指の長さ調節しましょか。
んで、再度形整えて・・・・
追記:なんかこの手を見て変だなーと思う人は鋭い。人差し指から小指にかけての4本の指の内、中指と薬指は左右に独立して余り動かないの。手を開いた時、人差し指と小指は左右に開いても、中指と薬指は「基本的には」手首の方にまっすぐのびて行きます。この手は薬指が少し外側に寄り過ぎてるね!
こんなもんかいの? もう少し指短くても良いかなぁ?
で、この後親指部分作る感じ。
ある程度固まったら板から剥がして指に表情付けても良いし、親指を基部ごと付けてもいい。親指も可動範囲こそ広いけど結局「手首の部分」に指の骨が収束すると覚えておけば、まーなんとか。
![IMG_1605[1]](https://wildcatfactory.wordpress.com/wp-content/uploads/2013/10/img_16051.jpg?w=652&h=868)
で、大体形になったら付けてみる。各部バランスとか色々言ってても結局でかくなる事が多い。でもでかけりゃ削れば良いので楽勝だ!
削る際だけど・・・・小スケール物の場合には頑張って指の断面を丸くしようとしたり、厳密に形を出さない方がいい時もある。
理由1. めんどくさいし、そもそも0.5mmも無い指をそんな風に作り込むの大変だし
理由2. 強度が保てない
理由3. 指の股の部分、変になる事がある。
問題として大きいのは2 。強度不足になると思う。ここで小スケールモデル独特の手段を使うんだけど・・・・
塗装で誤魔化す。
小スケール物の場合、細くしたいがどうしても強度の問題で細く出来ない部分ってのが出て来る事がある。その時は陰影の強調をしてその部分を細く見せるのが定石である。
上記の手で、親指の付け根の部分や指の股、指先部分が赤っぽい色で塗られているのが確認出来ると思う。
最も明るい部分を基軸に、少し奥まった部分を「暗色」で塗り、細く見せる訳だ。この方法を余り多用するとモデルがもっさりに見えてしまうが、効果的に使えば強度を保ちつつほっそりに「見える」モデルにする事が可能。私は良く知らんが女性のアイシャドウなんかも、その辺の凹凸の強調を狙った物であると認識している。
という事で、極端な話をすると指は棒状ではなく三角錐とか四角すいに近い形でも良い。指の切削の際には、棒やすりを45度に傾けてゆっくりゆっくりそろーりそろりと削る感じ。一回やすりをかけただけで0.1とか削れてしまうので、何度も何度も見直してバランスを見て、ある程度完成形に近付いたらモデルにきっちりくっつけてバランスを確認しながら削る。手をめいっぱい広げた時に、親指と小指があごの先端と髪の生え際に触るぐらいが「正しい縮尺」になる事を覚えておこう。人体の長さバランスは「~は~部分と同じぐらいの長さ」という形で把握するのが一番簡単なのだ。
手を小型化する際は、外周部を削って一回り小さくするのではなく。指先の方から削って行くと大吉。