芯材について


私は小スケールモデル作成する時にエポパテ余ったの丸めたりして作った「エポパテのブロック」を芯材にして形を作り、その上でパテ削ったり盛ったりしています。

エポパテ捏ねて作った

エポパテ捏ねて作った

大スケールのフィギュアとか自作する場合、或いは学校などで塑造を作成する場合は芯に木とか針金入れる事が多いと思うんですが、なんでエポパテで済ましているかというと・・・・

削って行った時にね、針金だと質感の違いとかが出ちゃうんですよ。そもそも芯材を中央において盛る事が極めて困難ってゆーか、ゆーか、ゆーか。

私の作ってるスケールだと、足首が細い所で1mmとか割と良くある話です。そこに0.5mmの真鍮線入れて盛ったとしても、0.25mmしか盛れないと。これは流石に剥がれたり欠けたりします。そもそも真鍮線ひん曲げるのもこのサイズだと結構難しい。昔はランナーを心棒にしてみたりとか色々やったんですけど、結局同じ素材にした方がやりやすいなー、みたいな。

実際作って見ると、エポパテなんて余り少量過ぎると硬化剤と主剤の比率狂いやすいですしね。少し多めに作ってそれを次回作の芯材にしちゃった方が無駄になる率は低い。
また、対溶剤性能の高いエポパテをメインにする事で、色塗り失敗した時にシンナーでジャブジャブ洗えるのも強み。下手にプラ材入れると溶けますし。(うっかりサーフェイサー吹いた後に成形して、シンナーで洗うと親指取れちゃった・・・なんて事もありましたがね!)

グラデーションとかは何故かけるべきなのか?


例えば小さなミニチュアモデルを作る時、別に人形だけではなく戦車でもガンダムでも良いんだけども・・・・

エッジを強調する塗装をしたり、奥まった部分を暗い色でグラデーション掛けたりする事がある。
なんでこんな事をしているのか?

極端な話、ミニチュアモデルを作成する際に全てのあらゆる要素を完璧に縮小できるなら、本物と同じ様にべったり単一色で塗った方がらしく見えるであろうというか、そうするのが当然である。

しかし、塗料を凄く細かいものにして、塗膜も縮尺通りにして、徹底的にミニチュア化してもどうしようもないものがいくつかある。

まずは観察者そのもの。これは小さくする事が出来ない。ドラえもんにスモールライト借りてこないとな!

次に、空気。晴れた日に遠くを見てみると判るが、遥か彼方のものは青色がかった色に見える。これは光が空気を伝播する間に光を拡散させてしまう為に起きる問題で、究極的には空が青いのと同じ理屈ではある。(この「遠くにある物は青っぽく、淡い色合いに見える」事を利用した「空気遠近法」という技法もあるぞ)
追記:実際に写真撮って見た。
IMG_1675[1]

荒川から東京方面を撮影したものだけど、遠方に行けばいくほど建物等の色合いが白っぽく(多分、朝で水蒸気が霧の様になり、全ての可視光線を乱反射させてるからだと思うが)見える。
空気はこの様にして遠方の物の色彩を変化させるのだ。一方向からしか見ないジオラマなどを作成する際に、手前に縮尺の大きなモデルを置き、遠方に縮尺の小さいモデルを置く事がある。
より大きく「距離感」を出したいのであれば、遠方にあると想定されるモデルの色彩を淡くするのは良い方法だ。

そして最後に、光そのものである。
光は回折といい、影の方に回り込む性質がある。しかし光は大スケールモデルにも小スケールモデルにも等しく同じように降り注ぎ、結果的に大きなものには大きな物の様に、小さなものには小さな物の様に見えてしまう訳だ。この光の性質などを逆算して等身大モデルをミニチュアっぽく見せる手法も存在している。

この「どうしても解決できない3つの問題」をどうにかする為に、塗装のグラデーション等の技術がある訳ですね。決してそれだけでは無いんだけど、目の前にある小スケールの物を大きなものの様に見せかける手段の一つとして、覚えておくと良いかもだ。

Wiv the Thief


Wivさん完成

IMG_1643

写真撮った後に塗り残しやはみ出てるの気が付いたりする事はままある事なので、気付いたらその都度修正してはあります。身長(台座含めて)30mm程度のモデルです。

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IMG_1638そんなに沢山色は使っていません。タミヤのフレッシュ(艶消し)、グンゼのタイヤブラック(半艶消し)、艶消しホワイト、艶消しブルーを基軸に少しずつ混色して塗ったくっているだけ。今回肌の部分の影は汚い感じにしたくなかったので赤と白を微妙に混ぜた肌色で対応しています。元々は赤みの強い部分(唇とか頬とか、膝肘辺り)の塗装用に・・・と思ってたんだけど、やってみたらシャドウ部これで良いんじゃね? みたいな。
ウォッシングも無し! 綺麗に、綺麗に!

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スカート部分は艶消しブルーを地に塗った後、余りに青が濃いので白を混ぜて原色をシャドウ部分の色にしてしまった。その後白混ぜた色を基調色として、白の混入比率を上げた物をしわのトップにドライブラシ塗装。

IMG_1641塗装その物も今回初めてタミヤのアクリル使ったので苦労した。艶消しの塗料ってそもそもの問題として乾燥が早いのだけど、今回使ったタミヤのアクリルは塗った先からマッハで乾き始めて泣ける事泣ける事! モデル表面の粒々は「塗ってる先から筆先の塗料が乾いて付着したもの」だったりします。これ、絶対にリターダー(乾燥を遅らせるもの)を入れないと塗装に適さんよ・・・・

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髪の毛とシャツは白に微量の青混ぜてシャドウ色とし、その上に白をドライブラシする感じ。塗っててなんかこーどっかで見た感じだなぁ、なんだろうこのデジャビューとか思ってたら、侵略! イカ娘のイカちゃんじゃなイカ!

ぶっちゃけ、初めての塗料でツブツブさせ過ぎなので、リペイントするかも知れんス。
今回一本400円ぐらいの面相筆買ったんだけど、その面相筆が余りに良過ぎるので、今度作るモデルは目玉を入れて、ちゃんと目も塗ろうと思いました。まる。

並べると、今まで塗ってきたモデルとの彩度が違い過ぎて笑える。何だこりゃ(笑)
彩度の違い

 

 

追記:

なんか粒々感がくやしーのでリタッチしてみた。リタッチって言ってもなんだ、塗料をラッカーシンナーで溶かして色の境目をぼやかしつつ、再度色の明るい部分を塗った、みたいな。
IMG_1650

IMG_1651

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IMG_1657こんな感じ。

開手を作るの巻


今回、滅多に作らない「開いた手」を作ったんだけど、その作り方みたいなのを。

意外と手を作るのは難しい。なんで難しいかというと、手の構造がイマイチ判り難いってのが根底にあると思うのね。手の関節がどこにあって、どう動くか、どこの自由度が大きくてどこが動きにくいのか、関節が動いた時にどう肉が動くのか・・・・
逆に言えば、その構造を把握するとどんなになるかというのは考えやすい。

ここを見てみよう。
岩国の病院のホームページだけど、最後にいい写真がある。これを参考にしてみよう。
hand我々が手のひらだと思っている所には、指の骨の延長が入っている訳だ。逆に言うと指というのは手首から生えていると言っても過言ではない。
極端な話をすると、親指の付け根と親指除けば、手の形って大まかに言うと手首から扇状に伸びた平たい板みたいなもんなんだよね。指の股や指の付き方を考える時にこの骨の構造は凄く役に立つ。中に骨が入っていると想定するとそれっぽく出来る。握り手の場合もこの基本構造を把握した上で作るとそれっぽい。
また、指の付け根の関節は意外と手のひら側の奥に付いている事も判る。
実際に指を真っ直ぐ伸ばし、手のひらを横から眺めてみよう。
ここで人差し指をゆっくり曲げてみる・・・・人差し指の骨を意識してどこからどこまでが指なのか考えつつ見て行くと・・・・分離していないだけで、実は手のひらの先の方、指の付け根あたりは指の骨の影響下にある事が判る。指は指として独立している部分だけではなく、その基部含めて指なのだと。

まぁ、硬いのはこの辺にして、とりあえず平手を作るでござる。

手のもと

まず適量のパテを取る。適量だと思ってても実は多かったってのが多いから、まーそのーてきとーで。手元に参考になるサイズの人形あったら、それと見比べててきとーに。

ての2親指除いた部分の大体の形(板状の扇形?)を作り、切れ目入れて指の原型を作る。

ての3指を開く。指分ける時には真ん中2本の細さだけ気にする事。端の方は硬化後に削ればいいのだから気にしない。
指を細くしたり表情付けるのは硬化後に行うので、この時点ではクリームパンとかグローブに見えても気にしない。この時点で気にするのは、この形の中に自分の欲しい手の形が隠れているかどうかだけ。
極端な話、削る行為を厭わないならプラ板の積層からでもパテの塊からでも手は作れる。作れるけどめんどくさかったり、作れるかどうか判らないから「まず、完成形の手がイメージできる状態まで持ち込む」までが第一段階。開手の場合はこんなんだけど、何かを握ってる時は扇状のパーツの段階で握りこむものの取っ手の部分に巻きつけて、そこから外形を整えて指を分割してます。

IMG_1645[1]

小指とか長いんで、少し指の長さ調節しましょか。
IMG_1646[1]んで、再度形整えて・・・・

追記:なんかこの手を見て変だなーと思う人は鋭い。人差し指から小指にかけての4本の指の内、中指と薬指は左右に独立して余り動かないの。手を開いた時、人差し指と小指は左右に開いても、中指と薬指は「基本的には」手首の方にまっすぐのびて行きます。この手は薬指が少し外側に寄り過ぎてるね!
IMG_1647[1] IMG_1649[1]こんなもんかいの? もう少し指短くても良いかなぁ?
で、この後親指部分作る感じ。

ある程度固まったら板から剥がして指に表情付けても良いし、親指を基部ごと付けてもいい。親指も可動範囲こそ広いけど結局「手首の部分」に指の骨が収束すると覚えておけば、まーなんとか。

IMG_1605[1]

で、大体形になったら付けてみる。各部バランスとか色々言ってても結局でかくなる事が多い。でもでかけりゃ削れば良いので楽勝だ!
削る際だけど・・・・小スケール物の場合には頑張って指の断面を丸くしようとしたり、厳密に形を出さない方がいい時もある。
理由1. めんどくさいし、そもそも0.5mmも無い指をそんな風に作り込むの大変だし
理由2. 強度が保てない
理由3. 指の股の部分、変になる事がある。

問題として大きいのは2 。強度不足になると思う。ここで小スケールモデル独特の手段を使うんだけど・・・・

塗装で誤魔化す。

小スケール物の場合、細くしたいがどうしても強度の問題で細く出来ない部分ってのが出て来る事がある。その時は陰影の強調をしてその部分を細く見せるのが定石である。
手の着色上記の手で、親指の付け根の部分や指の股、指先部分が赤っぽい色で塗られているのが確認出来ると思う。
最も明るい部分を基軸に、少し奥まった部分を「暗色」で塗り、細く見せる訳だ。この方法を余り多用するとモデルがもっさりに見えてしまうが、効果的に使えば強度を保ちつつほっそりに「見える」モデルにする事が可能。私は良く知らんが女性のアイシャドウなんかも、その辺の凹凸の強調を狙った物であると認識している。

という事で、極端な話をすると指は棒状ではなく三角錐とか四角すいに近い形でも良い。指の切削の際には、棒やすりを45度に傾けてゆっくりゆっくりそろーりそろりと削る感じ。一回やすりをかけただけで0.1とか削れてしまうので、何度も何度も見直してバランスを見て、ある程度完成形に近付いたらモデルにきっちりくっつけてバランスを確認しながら削る。手をめいっぱい広げた時に、親指と小指があごの先端と髪の生え際に触るぐらいが「正しい縮尺」になる事を覚えておこう。人体の長さバランスは「~は~部分と同じぐらいの長さ」という形で把握するのが一番簡単なのだ。

手を小型化する際は、外周部を削って一回り小さくするのではなく。指先の方から削って行くと大吉。